« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月 7日 (日)

【温故知故】Deep Purple Made In Europe

故あって、最近、古いハードロックばかり聴いている。
誰がどういう基準でそういうふうに呼ばわっているのかよくわからないが、世の中にはB級バンドというのが多々あって、最近聴いているのはそう呼ばれているバンドの作品が多かったりする。
Budgie、Three man army、Hard stuff、May Blitzなどなど・・・。

では、A級ブリティッシュ・ハードロックってのがあるとすれば、それは誰だ?
Led Zeppelin、Deep Purple、Black Sabbath、Bad Companyあたりか?
洋楽情報の乏しかった70年代、ほぼリアルタイムで新譜が日本で発表され、ラジオでオンエアされ、雑誌の表紙を飾った人たちという感じかな。
どうもそういう定義付けができそうだ。

そう思って聴くと、B級と言われる人たちの音楽はよく言えば「個性的」、悪く言えば「大衆性に欠ける」と言えまいか。
つまりは「アングラ」っぽいのかな。
そのあたりがマニア心をくすぐるのだろう。

で、超A級ブリティッシュ・ハードロックの代表たるディープ・パープルの第三期ライブ盤である。
最近、NHKで「ディープ・ピープル」という番組をやっていて、どういう番組かの説明は割愛するが、その番組で毎回ディープ・パープルの曲がちょこっとかかる。
そのたび、あぁ、パープルかっこいいなぁ、と思うのである。
常々、「パープルは第一期が最高!二期とか三期とかしょーもない。四期に至っては評価に値しない」などと暴言を吐いているが、実は本心ではない。
やはり、子供のころの原体験というのは侮れないもので、いまだに「紫の炎」のイントロを聴くと全身にアドレナリンが分泌される気がするし、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のギターソロは弾けてしまったりする。
要するに、パープル大好きなのだ。

Deep_purple_made_in_europe

そんなパープルであるが、最初に聴いたレコードが本作、「メイド・イン・ヨーロッパ」であった。
発売された当初、最新作だということで買ったはずだから、76年?
小学生のころだな。
買ったとき、既に解散していたのか、その寸前だったかは記憶にないが、少なくともリッチーは脱退後という認識はあったと思う。
もう少しパープルに関する基礎情報があれば、代表作「ハイウェイ・スター」とか「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が収録されている「ライブ・イン・ジャパン」か「マシーンヘッド」を買っていたのだろう。
ただただ当時最高のハードロックを聴きたく思い、レコード屋さんに行って最新作を買ってきたのだと思う。

当時、初めて聴いた印象はおぼろげに残っている。
ドラムがかっこよいと思ったはずだ。
そのころから、バンドをするならドラマーになりたいと思うようになった。
中学で知り合ったロック好きの少年たちとバンドやりてーと悶々としていたころ、ちゃんと楽器の弾ける人は仲間うちには皆無だった。
実際に自分たちでバンドをするとなったら・・・と考えると、まぁ、それぞれの家の経済状態やら、練習する環境、友人間の力関係など、いろいろ課題はあった。
やっぱり、ドラムを持つには、大きい音を出しても大丈夫な住環境も必要だし、楽器も高価なのでそこそこ裕福な家の子でないと無理なのではないか・・・。
などと、子供の割りに分別臭いことを考えて、ギターかベース担当に変更。
幸い、兄が持っていたフォークギターが家にあったので、ギターは多少弾けるようになっていた。
仲間内のリーダー格の男がマッカートニー好きで、「俺はベースを弾く」と譲らなかったので、結局ギター担当ということになった。
その数ヶ月後には、新聞配達をして稼いだ数万円で、ヤマハのSGモデル(旧タイプだ)とテスコのアンプを入手し、ギター弾き人生はスタートするのだが、それは措いといて。
ちなみに、彼の家は郊外の広い家で、友人たちのたまり場になっており、後に最初期の「よたろう帝國」の練習場となった。

どうでもいい昔話はさておき、本作である。
皇帝宅ライブラリーのパープルCD化率は意外と低く、本作も久しく聴いていなかった。
70年代ハードロックリバイバルの嵐に吹かれて、やっとCDを入手し、久しぶりに聴いてみた。

今回、某通販サイトで検索してみたら、昔ながらの5曲入りしか売っていない。
しかも、入荷待ち状態でだいぶん待たされた。どうも納得いかんな。
パープルのライブといえば、「ライブ・イン・ジャパン」がハードロック史に残る名盤とされ、リマスターやらエクステンデッドバージョンやら、いろいろ出されているのに、本作はいまだにLP一枚分の収録時間で、昔ながらのフォーマットで流通している(別タイトルで同時期のライブは他に何点か出ているようではあるが)。
ちょっと扱いに差があるな。
世間的には第二期が最高で、他はオマケみたいな認識があるのかもしれない。
確かに第二期の演奏は凄まじいモノがあるが、バンドとしての整合性、完成度からいうと、第三期だって決して劣るものではないと思う。
「紫の炎」を始め、佳曲も多い。

リッチーのギタープレイに関しては、二期のような爆裂感には欠けるが、微妙なトーンコントロールと特異なスケール、絶妙な指捌きで、他を寄せ付けない圧倒的な存在感を醸し出している。
まさに「神技」というべきであろう。
新加入の二人のボーカルはそれぞれ個性的で、勢いがある。
ブルージーでエモーショナルなカヴァーデイルと高音シャウトがかっこいいヒューズ。
ヒューズはソウル、ファンク好きで知られるが、パープルではハードロック的なシャウターとしての印象が強い。
スティーヴィー・ワンダーがハードロックバンドで歌ったらこんな感じになるのかもしれない。
カヴァーデイルのぶつぶつしてねっとりした歌い方って、ときとして、やや鬱陶しいと感じることもあるので、一作くらいヒューズのみリードボーカルでアルバムを作ってみてほしかったものである。
トラピーズが、曲、演奏ともにいまひとつなだけに、なおさらね。
また、ベーシストとしても相当やり手で、部分的にはグローヴァーのボトムをしっかり支えています的なプレイと比べて、かなり自由度の高い演奏をしている。
ペイスのドラムに関しては、やっぱりパープルの要だなぁ、と納得の演奏。
よくも悪くも、パープルがヘヴィーロックにならないのは、彼のドラムのなせる業、と思う。
ロードに関しては、この人は、第一~二期で燃え尽きてしまった感があるが、手堅いプレイを聴かせている。

これらの優れたミュージシャンの個性が存分に発揮されている本作は、ハードロックバンドのライブ盤として傑作の域に達している。
「ライブ・イン・ジャパン」の破天荒なスリルはないが、音楽的な充実度ではいささかもひけをとらない。
もっと評価されていいと思うが・・・。

本作と同時に発注したのであるが、本作の着荷が大幅に遅れてしまったために先に聴くことになったのが、「嵐の支社」もとい「嵐の使者」。
リッチーが投げやりに演奏しているとか、カヴァーデイル、ヒューズのソウル、ファンク趣味が爆発とか、いろいろ悪評高い作品で、ついぞ今まで聴く機会がなかったのだが、聴かず嫌いはいかんな。
というわけで、発売以来37年目にして初めてきちんと聴いてみた。
なんでそれほど評価が低いのかよくわからんかった。
これは、ひょっとして大傑作ではないのか。
「紫の炎」よりこっちの方がアルバム作品としてはずいぶんよくできている。
というか、パープルのスタジオ作品って結構やっつけ仕事的なのが多い中、これは丁寧に作りこまれた印象だ。
ステレオタイプなハードロック曲は少ないが、パープルの新境地への試みは成功している。
ファンク調の曲でのリッチーとロードの演奏に若干ぎこちなさと違和感を感じる部分はあるにはある。
古臭いブルースロック風のギターソロとか。
しかし、巷間で言われるような投げやりな感じではなく、まぁ、熱気むんむんっ!という感じでもないが、案外丁寧に演奏しているのではないかな。
そういうところも含めて、聴きどころは多い作品である。
とはいえ、リッチーは不本意だったのだろうな。

Deep_purple_stormbringer

ちなみに、リッチーのパープル脱退の直接原因というのが、後にレインボーでカバーすることになる「黒い羊」という曲(70年初頭の英キーボードトリオ、クォーターマスの曲)をパープルで演奏したいと提案したところ、メンバーたちににべもなく却下されたことだとされている。
レインボーのバージョンもかっこいいが、この時期のパープルでのカバーが実現したら、どんなになっていたか興味津々。
原曲がいいだけに、相当いい感じになっていたのではなかろうか。
ちょっと惜しい話ではある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »