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2011年6月 8日 (水)

【温故知故】「過ぎ去りし夏の幻影」と「産児制限」

HMVから誘惑メールが来た。
洋楽CDのバーゲンとな。
こういう機会に、レコードは持っているけど永らく聴いていない作品とか、前々から聴いてみようと思いつつ機会を逃していたCDをぽちぽちと注文してしまう。
な~んか、店の思うツボだなぁ。

そんなわけで、ジャーマンロックの有名どころを2作。
とは言っても、ひとつはベスト盤だけど。

Novalis

Sommerabend / Novalis

76年発表の本作、かつては「過ぎ去りし夏の幻影」という邦題がつけられていたという。
実に秀逸なタイトルだ。あたかも音楽が聞こえてくるようだ。
直訳すれば「夏の夜」ということらしいが、ドイツのような高緯度の地域では、われわれが思い描く「夏の夜」とはいささか趣きが違うのだろう。
ジャケに描かれた仄暗い宵のような雰囲気なのだろうか。

ジャーマンロックといえば、スコーピオンズに代表されるハードロック、メタル系かカン、ポポル・ヴーなどのようなプログレというか前衛色の強いものが想い起こされる。
なんだか、理屈っぽい感じか。
しかし、このノヴァリスは、端正なアンサンブルと抑制の効いた歌唱で、その先入観を裏切る。
ドイツ語による歌唱に引きずられた印象かもしれないが、なんかカクカクした感じで、イタリアン・ロックのような自由闊達なのびのびとした雰囲気はない。
よくレビューで語られているが、朴訥としたロマンティシズムとでも言おうか。
楽曲は「宮殿」クリムゾン風の白玉バッキングキーボードで彩られたメロディアスなものだが、クリムゾン的大仰さ重苦しさ禍々しさは乏しく、もっとこじんまりとした感じ、室内楽的といってもよいかもしれない。
しかし、ぱっと聴いた感じではジェントルなのだが、意外にも個々の楽器は結構ちからの入った演奏をしている。
特にギターは、ギブソン系の歪んだ音でザクザク弾いていて、なかなか気持ちよい。
エフェクターなんかの機材も乏しかった時代だからなのだろうが、アンプ直結っぽいストレートな音だ。
同傾向のドイツのバンドにヘルダーリンというのがあるが、ノヴァリスの方がよりハードロックっぽいのではないかな。

Birthcontrol

The very best of / Birthcontrol

活動期間の長いバンドのようだが、本ベスト盤に収録されているのは、72~75年という短い期間の楽曲である。
恐らく3作品からの抜粋なのだろう。
バースコントロールは、ハードロックバンドともプログレとも紹介されているが、まぁ、両者の境界が曖昧というかそもそもそんな区別がなかったころの音楽である。
こちらは、ドイツっぽい理屈っぽさや実験性がやや感じられるが、どたばたとした仕掛けの多い演奏とパワフルというか妙に力みかえった歌唱のどことないアンバランスがおもしろい。
特に、ちょっとしたスタジオギミックというか、ミキシングでのエフェクト処理が露骨で、時代を感じさせる。
ドラマーが中心メンバーだったせいか、ドラムの音量が大きめで、うるさいといえばうるさいのであるが、ダイナミックであるとも言えなくもない。
キーボードは達者な演奏を聞かせるが、特にシンセサイザーがまだまだ新奇なものだったせいか、アナログシンセのぽよんぽよんぶにょ~とした音でのソロがしつこくって、これもまたよし。
クラフトワークやタンジェリンドリームとの距離はそんなに遠くないという気もしなくはないが、メンバーが体質的にフィジカルな人たちなのだろう、全体に暑っ苦しい感じだ。
そいういう点では、同時期同国のフランピーというバンドに似ているような気もする。

・・・という具合に、同時期のドイツのバンドを2連発で聴いてみた。
どういうわけか、ミキシングの感じがよく似ている。
ライブ感のある音作りとか、楽器のバランスとか。
この時期、この国での流行なのだろうか。

ジャーマンロックといえば、先述の通り、エクスペリメンタルなものを想い起こすが、こういう直球勝負みたいなバンドもいたのであろう。
当たり前といえば当然なことであるが、こういう新しい知見を得るのもまた愉し。
かくして「温故知故」の細道は続くのであった。

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コメント

バース・コントロールいいっすよね!
アナログが欲しい!

投稿: 津の | 2011年6月 8日 (水) 18時47分

>津のさん

どーもです。
お好きですか、バースコントロール。
なんとなくわかるような気がします(^^;
好き放題やっていたら、へんてこりんなものになってしまいました的な感じがおもしろいですよね。


投稿: 皇帝 | 2011年6月 8日 (水) 23時50分

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