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2011年6月13日 (月)

【温故知故】Over the Rainbow

先月号のレコードコレクター誌はレインボウの特集であった。
リッチーやロニー、コージーについて、レインボウ以前、以後の活動について誌面を割いて詳しく解説するのは当然だろう。
しかし、それ以外のメンバーについて、ほとんど言及がないのは、いかがなものか。
2nd"Rising"がハードロック史上に燦然と輝く名盤たりえたのは、キーボードプレイヤーの活躍があってこそだと思うが。
そのキーボードプレイヤーはトニー・カレイ(ケアリーとかカリーとかいろいろ呼ばれているが本当はどうなのだろう)である。
"On Stage"でも素晴らしいプレイを聴かせていたのに、あっさりクビになって、惜しいものだ。
3rdでも弾いていたら、あの作品の評価もずいぶん変わったのではないかと思う。

"Rising"の聴きどころは、レコードだとB面の2曲、"Stargazer"と"A light in the black"であろう。
特に、後者での高速8ビートに乗せてぶりぶりと駆け回る長尺シンセソロは、その直後のクラシカルな高速アルペッジオのアンサンブル(いやぁ、ここのコージーは最高にかっこよい)によるクライマックスを導く。
この後に続くリッチーのソロも彼のキャリアの中で最高の部類に属するものであろう。
楽曲、演奏および歌唱、アレンジ、サウンド・プロダクション・・・録音作品の質を維持するのに不可欠なこれらの要素が、恐らく最高の形で残されたのがこの"Rising"という作品ではないか。
トニーの功績は大きい。

"A light in the black"でのトニーのソロは、パトリック・モラーツによるイエス"Sound chaser"などと並びロック界におけるシンセソロの金字塔だと思う。
"Tarot woman"の導入部のシンセソロも、まぁありがちといえばそうなのだが、劇的な効果を生んでいる。
そういえば、トニーもモラーツも、一世代前の名プレイヤー、例えばジョン・ロードやキース・エマーソンと比べて、クラシック嗜好に乏しく、ジャズやブルース臭いところが特徴かも(トニーはアメリカ人だからな)。

Tony_carey

それはさておき、今回入手したのは、このトニー・カレイのソロ作品である。
89年の作品とのこと。
彼がレインボウをクビになってからどこでなにをしていたのか、ほとんど知識がなかったので、もちろんどういう音楽なのかも存ぜぬ。
ジャケ写真を見て、まぁハードロックはやっていないだろうな、とは思った。
でも、ひょっとして一曲くらいは、ハードインストがあって、ぶりぶりとシンセソロを聞かせているのではなかろうか、と期待はしていた。

ところが、全編アダルトな感じのボーカルナンバー・・・。
結構、歌うまいな。
演奏もほとんど一人でやっているのか。多才な人だな。
案外、いい作品かもしれん。
・・・う~む、往年の熱演は期待していなかったし、予想通りの結末だが、なんだか一抹のさびしさを感じたのであった。

ところで、近年、トニーを含むレインボウOB(とリッチーの息子と)でOver the Rainbowなるバンドを結成したとのこと。
ちょっと期待してみたりして。

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