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2010年10月11日 (月)

僕らが作ったギターの名器

「僕らが作ったギターの名器」(文春新書) 椎野秀聰著

永年ギターを弾いて暮らしているが(とはいえ、それで飯を食っているわけではないよもちろん)、あまりハードウェアには興味がない。
そこそこいい音が出て、弾きやすい楽器ならば、それほどスペックは気にしないで弾いている(だからダメなのか)。
とはいえ、ギターを弾き始める前(あぁ、もう30年以上前の話だ)は、楽器屋さんでパンフレットを集めてきて眺めては、こういうのが弾きたいな、ああいうのがほしいな、と夢見る小僧だった。

だから、70年代後半の国産ギターの数々はよくよく憶えている。
ヤマハ、グレコ、フェルナンデスはちょっといい感じ。
グヤトーン、フレッシャー、ウエストミンスターは廉価版。
トムソン、トーマスはさすがに対象外。
ギブソン、フェンダーは手の届かない高嶺の花。
やっぱりハードロックやるならレスポールタイプ、ストラトは若干軟弱な感じ。
・・・そんなイメージだったなぁ。

新興のブランドもいろいろあったな。
トーカイとかキャメルとか。
そんな新興ブランドの中でちょっと異色な感じだったのが、HSアンダーソンだった。
コピーモデル主流の当時、微妙にオリジナリティを発揮したデザインは印象的だった。
そのブランドをプロデュースしたのが、この本の著者、椎野氏だったとは、この本を読んで初めて知った。
さらに、ESP、Vestax(ってギターじゃないし)などのブランドを立ち上げたのも椎野氏だと知って、ひょっとしてこの人、ものすごい人だったの?と今さらながら驚いている。

本書は、著者のギター開発に関わった人生を通して、「よい楽器」とはどんなものか、「よい音楽」とは何だ、ということを書き綴ったものである。
普段、ギターのスペックをみるときでも、あまり木の材質など気にしないのであったが、当然ながらそれらによって音は違ってくるし、出したい音によってそれらの選択は変わってくるものであるはずである。
そういうところには無頓着な自分は、つくづくギタリストではないな、と感じてしまう。
一方で、ギターの音は木の音が基本、という自分の信条は間違ってないなぁとは思った。
ギターと自分のやっている音楽とのかかわりを見直すきっかけになりました。

ところで、日比谷カタン氏の弾いている年代もののアコースティックギターが、どうやらサックスで有名なセルマー社が製作していたマカフェリというギターらしいということがわかって、ちょっと納得。
マカフェリはジャンゴ・ラインハルトの使用していたギターであり、著者が30年以上前に出会ったパリのビストロでシャンソンの伴奏でマカフェリを弾いていたギタリストとの短いエピソードは、なんだか軽く胸を熱くさせるものがある。

楽器は単なる工業製品ではないという極々当たり前のことを再認識させてくれ、また、「ものづくり」とはどういうことなのかについて考えさせてくれる意義深い本であることよ。

20101011guitar_2

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