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2008年5月31日 (土)

「天水」

一昨年からライブのステージ衣装に狩衣、奴袴、烏帽子を着用している。
俗に「胡散臭い神主」と言われているのであるが、実はもともとのコンセプトは「神主」というより、むしろ「公家」であった。
「皇帝」と名乗っているが、さすがに「みかど」は畏れ多い。

小学生のころ、夏休みの自由研究に公家の生活を取り上げるような妙な嗜好を持っていた。
「今昔物語」「宇治拾遺物語」など説話モノが好きでよく親しんだものだ。
今にして思えば、「『雅』と『奇天烈』」というよた帝のキャッチコピーの源流はこのあたりにあるのだろう。

花輪和一は、自らの獄中生活(銃刀法違反により懲役3年)を独特の濃密な描画によって描いた「刑務所の中」で著名なマンガ家である。
この作品も花輪の個性満開でヒジョーにおもしろいし、世界への呪詛に満ちた初期の猟奇的作品もなかなか刺激的であるが、やはりこの人の真骨頂は、平安時代を時代背景に描いた不条理王朝説話の世界であろう。
近代的合理主義思想、発想、行動様式とは明らかに異なる世界観、倫理観によって繰り広げられる花輪ワールドは、説話好き古典好きのわたしにとって、もうウハウハなのだ。

個人的な事情はさて措いて、この「天水」である。
花輪作品は現在入手困難なものが多く(本書もそうらしい)、未読作品も多々あるのだが、一連の王朝説話モノとしては、もっともエンターテイメント性に富み、花輪ワールドに初めて触れる人でも安心してお勧めできる。
もともとマニアックな雑誌に短編を中心に描いている作家であるが、これは講談社のアフタヌーンに連載され(1992~94年。作者の投獄によって中断)、講談社から出版されたものである。

ストーリーを簡単に紹介しよう。

平安の都、訳あって一人で暮らしている少女棗(なつめ)が、ひょんなことで河童さんと暮らすようになる。
棗のまわりで起こる奇怪な現象、襲い来るもののけを河童さんと協力して解決、退治する、というのが前半のストーリー。

こう説明すると、「ドラえもん」に代表される典型的な普通の子供と異界の者とのコラボレーションもののようである。
たしかにそういう面は強く感じられ、花輪作品としては、破格に明るい。商業誌での連載ということを強く意識したのだろうか。
しかし、登場人物の行動はやはり花輪世界の住人であり、あたかも上古の人々を見てきたかのように描く作者の世界観は健在である。
それよりもなによりもやはりあの濃密な花輪絵で描かれたもののけを見るだけで、安心する。
さらに、もののけ調伏の場面で繰り広げられる呪文と祭式の様子は、血沸き肉踊る。

後半は、棗の母を探す二人の旅を中心に展開する。
出会えば別れを繰り返し、ある時は狐に捕まり、ある時は地獄に堕ち、ある時は人助けをし、旅を続けながら、棗は試練を乗り越え心を強くしてゆく。
身を挺して棗を助け、仙術?を駆使して困難を乗り切る河童さんの姿は感動的ですらある。

この手の話は、主人公二人の絆の深まりと能力の高まりが面白さのポイントなのだが、まさしくその王道を行くストーリーだ。
その点だけでも、十分に読み応えはある。
しかし、綿密詳細な異界の情景、人間の心の一番暗いところを抉り取るような描写、因業因果の果てに辿り着いた結末。
これらは花輪ならではの世界であり、他の誰も真似のできないものであろう。
長編ならではの主人公のキャラの立ち具合もいい感じである。

一見、全編に漂う大衆性のため、マニアックなファンからの評価は低い作品かもしれないが、エッセンスだけをぶつけたような短編にはない「物語」性が本作の魅力であり、花輪流王朝説話マンガの傑作だと思う。
これは、広くお勧め。

Tensui_2

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2008年5月25日 (日)

【よた帝通信】My Spaceと「イカ天08」

春季ライブサーキット「怪奇と幻想の宴~序章」も無事終了し、しばらくお休みいただいておりますが、生来の貧乏性のせいか、ただ休んでいるのももったいないってことで、こそこそとネット上広報活動をやっております。

★My Spaceに登録しました。

昨今話題のMy Space(ってすでに遅い?)。
ようやく登録しました。
音源、映像いろいろアップできて、便利。
CD「常世の門」の音源と先日の拾得ライブ音源、映像をアップしております。
ぜひご覧ください。
http://www.myspace.com/yotatei

★「イカ天08」に応募中。

「イカ天」って、90年前後のバンドブームを招来して、一世を風靡したあのテレビ番組「イカ天」のネット版が開催されています。
でも、関西地方ではオンエアされてなかったので、個人的にはあまりなじみがないんですが。
どうやらビデオの視聴数が選考ポイントになるらしいので、皆さまのポチッとをお待ちしておりますm(_ _)m
映像は、拾得ライブの「恐竜王」。
えりたんの爆裂っぷりが見ものです(^^;
http://video.msn.com/video.aspx?vid=f1a2a10c-58df-429f-b8c1-2822f9d6ff94

よろしくお願いいたします~。

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2008年5月19日 (月)

【よた帝通信】「怪奇と幻想の宴」第二夜終了。

いろいろトラブルもありましたが、なんとか無事終了しました。
観戦いただいた皆さま、Brand newのスタッフの皆さま、競演いただいた皆さま、お疲れさま&ありがとうございました。
よた帝は、しばらくお休みをいただき、今回の反省をもとに、さらにパワーアップして戻ってきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

セットリスト

1.黄金の夜明け
2.恐竜王
3.かつらぎ
4.窓が開く
5.七年殺し!

20080518brandnew3 

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2008年5月18日 (日)

「20世紀少年」

ひさびさのマンガネタだ。

今さらな話だが、浦沢直樹の「20世紀少年」を読了した。
連載当初から非常におもしろいと好評だったようだが、そのころはマンガ雑誌を買う習慣を止めていたので、完結したら一気読みしようと思って見送っていた。

浦沢については、折に触れて語っているが、マンガ的な絵のうまさとストーリー運びのうまさでは、現役のマンガ家でトップクラスではないかと思っている。
くすぐりを入れたり、人情話でちょっとほろっとさせて、一気にカタスロフに持っていく展開は、「うまい」というより「ずるい」と言った方が適切か。

初期作品の「パイナップルアーミー」から現在進行中の「プルートー」に至るまで、そのパターンは同じであるが、それでも読者を手玉にとる技術はますます冴え渡っている。
以前、毎週マンガ雑誌を7~8冊濫読していた時期、この人はスピリッツで「YAWARA!」とか「HAPPY」を連載していたのだが、ゆるいラブコメ路線がイヤで、あまり評価してなかった。後に「MONSTER」でそのうまさに気がつき、今では好きな作家の一人である。

さて、「20世紀少年」であるが、もうタイトルからしてキテるなぁ。
まんまマーク・ボランやんか。

ストーリーについては、恐らくあちこちで語られ、ヒット作でもあるので、読んだことのある人も多かろうし、またこれから読もうと思っている人の妨げになってもいかんので、ごくごく簡単に説明すると、ロッカーくずれのコンビニ店長が、世界征服を企てる秘密結社?と対決し、人類を救済する話である。
もう、これだけで、荒唐無稽文化財な話だってのがよくわかるが、これでこそ現代マンガだ、と思う。
細部に日常感覚を保ちつつ、非日常の世界に投企する人間の有様を、生活臭を漂わせた人物の群像劇として描いている。
リアリズムを保持したファンタジー。
しかも、広げに広げた風呂敷を、ちきんときれいに畳んだ腕前はさすがである(やや腑に落ちないところもあるけどね)。

さらに個人的に「やられた」と思ったのは、随所に散りばめられたキーワード。
「万博」「秘密基地」「予言の書」「ボーリング」「駄菓子屋」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」・・・。
いずれも今Over 45くらいの人々にとっては、懐かしいものであろう。いや、ある種の人にとっては、「懐かしい」というより、人格形成の根幹になっているものではなかろうか。

わたしなんぞ、「万博」で提示された未来世界、テーマ「人類の進歩と調和」を子供心に深く刻み込んで、この歳まで過ごしてきたような気がする。
同時に例の「ノストラダムスの大予言」(本書では直接的には触れられていないけど)で21世紀までに人類は滅びてしまうという終末観を万博の数年後に植えつけられてしまった。
そのような価値観、世界観の揺らぎを少年期に体験した世代の物語なのだ。

学生たちが熱く革命を語り、イデオロギーが世界を変えると信じた世代と、世の中、お金がすべて、カネのチカラこそが世界を動かす、という経済至上主義的なバブルな世代のハザマにあって、価値観が揺らぎ続けた我々の世代にとって、目の前にあらわれ、ただただ「カッコイイ」と思い、信じられたものは、「ロック」だった。
そんな青臭いことを思わずにはいられなくなるような作品である。

「ロックの神様」って、いたんだろうな、と思っているアナタ、ぜったい本書を読むべきです。
これほど、「ロック」なマンガはそうそうないよ。

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2008年5月17日 (土)

【よた帝通信】「怪奇と幻想の宴」第二夜【訂正】

5/18の標記ライブですが、開始時刻は18:00です。
よろしくお願いします。

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2008年5月16日 (金)

【よた帝通信】「怪奇と幻想の宴」第二夜。

いよいよ今週末になりました。

「怪奇と幻想の宴」第二夜。

先月、拾得で好評を博した新曲「黄金の夜明け」「窓が開く」の2曲ももちろん演奏します。
今回は諸事情によりBrenda単独ボーカルというレアな編成でやっちゃいます。
いつになくハードロックな選曲でもあるし、これが終わるとしばらくライブの予定もないので、ぜひとも聴きに来てくださいね~。

2008/05/18(日)
Brand New(大阪・西九条) JR環状線西九条駅下車徒歩1分くらい
会場17:30 開演18:00 チャージ(前売り)¥2,500(当日)¥3,000
c/w MUTHAS PRIDE / NAOTO PROJECT(f.東京) / Kouichi Ogawa(exANGELUS)

チャージがややお高くなっておりますので(^^;聴きに行ってやろうという奇特な人は、ご連絡ください。チケット取り置き承ります。

新曲「黄金の夜明け」は月影の錬金術師」というアニメのテーマソングになっております。
↓は、そのイメージイラストです。
Alchemist_in_moonlight

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2008年5月 4日 (日)

【よた帝通信】「怪奇と幻想の宴」第一夜終了。

遅くなりましたが、標記ライブは無事終了いたしました。
お忙しいところ、観戦してくださった皆さまがたには、深く御礼申し上げます。
ありがとうございました。

京都では老舗で通るライブハウス、拾得から声がかかったのは、3月の中ごろ。
やはりこれは万難を排して出演すべし、と結論を出して、約一ヶ月前倒しの進行でリハを進めた。
その甲斐あってか、新曲2曲とも無事披露できて、なかなかよいライブではなかったかと、自画自賛(^^;
拾得は、あの独特のまったりした雰囲気、併せてスタッフの方々の丁寧な仕事振りもあって、非常に気分よく演奏できました。
ちょっとリラックスし過ぎたかもしれんが・・・。

幸か不幸か、よた帝演奏時には、お客さんはほとんど顔見知りの方々ばかり。
ほぼ貸切状態でした。これも、リラックスできた要因ではあるなぁ。
とはいえ、よた帝史上一番ヘンテコな譜割りの新曲「窓を開く」もギリギリのところで踏みとどまって完奏できたし、外音もよかったみたいだし、音楽的にも成果があがったライブであったと思います。

セットリストは以下の通り。

1.シベリア夜曲
2.黄金の夜明け
3.乾坤の果て
4.窓が開く
5.恐竜王
6.七年殺し!
アンコール:キッズはご機嫌

次回は5/18大阪西九条ブランニューです。
よろしくお願いします~。

Bfba

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