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2007年10月21日 (日)

筋肉少女帯と封印作品

うむむ、意味ありげなタイトルだな。
筋少の封印作品といえば、「ドリフター」「岡田ロック」などが有名だが、今回はそういうことを書くわけではない。
ひさびさに最近の読書感想文を書こうとしているのだ。

安藤健二著「封印作品の謎」「封印作品の闇」
大槻ケンヂ・橘高文彦・本庄聡章・内田雄一郎著「筋肉少女帯自伝」

う~む、見事にトレンディな読書傾向だ(どのへんが?)。
普段、江戸川乱歩だとかラブクラフトだとか、いまさら感想文を公にするのも憚られるような本ばかり読んでいるので、たまにこういうのを読むと、何か書きたくなるな。

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「封印作品の謎」「封印作品の闇」

世の中に「封印作品」と呼び習わされてる一連の映像作品、書籍が存在する。
何らかの理由で、公開がなされていない作品の総称である。
まぁ、「発禁本」「放送禁止歌」などと似たようなものであるが、なぜかそういう言い方をする。
本書でも取り上げられていて、「封印作品」の代名詞となっているのが、「ウルトラセブン」の第12話「遊星より愛をこめて」だ。
実は、わたしはこの作品が公開されていないということをだいぶん昔に知って、かねがね疑問に思っていた。Huuinn2_3 Huuinn_2

あれは中学生のころだから30年くらい前の話だ。
近所の友人の弟(小学校低学年だった)の持っていた「ウルトラセブン大百科」みたいな本を目にして、
「お。懐かしいな。ちょっと貸して」
子供向けの本のわりに資料が充実していて、巻末に作品リストなんか載っていて、脚本、監督などのクレジットがある。
その中で、「第12話は現在欠番をなっています」みたいな注釈があり、リストが空欄になっている。
ウルトラセブンはリアルタイムで見ていたし再放送も繰り返し見て、登場する宇宙人、怪獣の類もほとんど知っていたのだが、第12話がどんな話だったか、さっぱり思い出せない。
そのときから、第12話の謎は心に引っかかり、永く疑問に思っていた。

時は過ぎ、インターネットなるものが普及して、何気に円谷プロ関係のファンサイトを見ていると、第12話についての言及があった。
「なるほど、そういうことで欠番になったのか」
と納得したものだ。
しかし、それも噂、伝聞の域を出ない記述で、真相は依然不明であった。

似たような話で、結構社会問題になったので、ご存知の方も多いと思うが、「ちびくろさんぼ」絶版事件がある。
これは本書では扱っていないが、基本的な構図は同様である。
手塚治虫、藤子不二雄などの日本マンガ史はもちろん戦後の文化史に大きな業績を残した著名なマンガ家の作品も、危うく封印されるところだったそうだ。
というか、本書によると、実際に一時的に出荷停止になたものも多かったらしい。また、実際に封印されて、今や手に取ることもできない作品が少なからず存在する。
そいうえば、手塚、石ノ森などの復刻作品には、たいてい巻末に編集部からの「おことわり」が記載されており、「人権擁護の観点から不適切な表現が含まれるが、差別を助長する意図で書かれたものでなく、時代背景を考慮して一部修正の上、出版するものである」というような文言が付け加えられるようになった。
この種の「おことわり」は乱歩などの小説にも見られる。

本書は、「謎」と「闇」で2冊一組の趣で、この種の作品が封印された真相をジャーナリスティックに追究したものである。
通常、この種の作品を扱った文章は、特撮マニアだとかその種の人が噂、伝聞に基づきおもしろおかしく書いていることが多いが、本書の著者は元新聞記者で、きちんと取材して書いている。
なにぶん微妙な問題を扱らねばならない題材だが、よくがんばって書いたなぁ、と思う。
同業者(出版人ってことね)の、ある意味で隠したい事情のある作品を扱っているわけだから、そりゃ微妙だわなぁ。きっとあちこちから圧力があったのだろう、と思わせる記述もある。

著者の視点は、この種の本にありがちな興味本位、面白半分のものではなく、極めて真面目なものである。
ファンや読者の立場に立ち、素朴に「なぜ、あの作品が今は見ることができないの?」という疑問を解き明かす。
とはいえ、著者自身はこれらの作品の特別なファンではないことは明言している。これが、私情、推測を交えないジャーナリスティックな本書の雰囲気を生み出している。
個人的には、非常に好感の持てる態度だ。
結果的に、表現の自由と差別の問題を考える上で、なかなか貴重な資料となっている。言語表現に携わる人は、一読の価値はあるだろうと思う。

しかし、そういう表現の自由と差別のせめぎ合いが原因で封印された作品ばかりではない。
共著である作品で、両著作権者の意思の齟齬が原因となったケースも取り上げられている。こちらの方が、読者としてはやりきれない思いにとらわれる。
個人的にはあまり興味がなかったから、たいした感慨も抱かなかったが、例えば「オバケのQ太郎」封印の真相には、なんだかなぁ・・・と感じた。
世に出された作品は誰のものなのか、という問題も興味深いというか深刻な問題である。

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「筋肉少女帯自伝」

立て続けにちょっとヘヴィーなノンフィクションを読んで、暗澹たる気分になったので、ちょっと気分を変えようと、買いに行ったのが本書。
「自伝」と銘打ってあるが、実際はインタビュー集だ。
わたしのごく親しい人は既に周知の事実であるが、実は筋少大好きなのである。
順風満帆に見えた90年代筋少も、実は内部にいろいろ問題を抱えていたことは既に大槻のエッセイなどで繰り返し語られているので、さほど目新しいことではないが、本書では、それらが他のメンバーの発言によって裏付けられた点に興味深いものを感じた。
まぁ、ファンの人以外には、まったくおもしろくないと思うが、ファンの人には、楽しめる内容だと思う。
個性的なメンバーを擁するバンドであるから、各人の音楽観なども垣間見える。ファン必読であろう。Kingshowjiden

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コメント

作品の本質を見ず、言葉尻だけを捕まえて「差別だ差別だ」と騒ぎ立てる。そしてろくに考察もせず封印してしまう、小手先だけの臭いものに蓋的対処をして、だんだん自分の首を絞めて行くのでしょうね。言葉でも、テレビでは言えないけどラジオではOK。ラジオでも言えないけど本ならOKなんてバカな事ありますからね。また、権利の争いで世に出ないなんて、つまらん事で巻き添えを食った作品は泣いてます。

そう言えば、よたろう帝国にも封印作品ありましたね。いや、あれは過去との決別か。どんどん進化して行ってますものね。

投稿: 忍者 | 2007年10月23日 (火) 01時04分

テレビアニメ「サスケ」の再(再々々々・・?)放送でセリフがところどころ無音になってた記憶があります。おそらく身体障害関係の差別用語をカットしたんでしょうが、元はどんなセリフだったのか興味をそそられ、色んな差別用語を思い出しては当てはめて楽しんでしまいました。
差別撲滅には逆効果。

発禁にせよR指定にせよ、隠されると見たくなる。
「本当に隠すべきかこっちで判断するから見せろよ」と思ってしまうもんです。
とはいえ、僕はモロよりモザイクがあるほうが品があって好きですが。

投稿: ISSI | 2007年10月23日 (火) 01時15分

>忍者さん

まったくご指摘の通りで、作り手の意図をまったく理解せずに表面的な抗議が多いようです。
とはいえ、作り手としては、配慮が必要な事項でもありますが。
抗議する側は、自分の思うところを正直にぶつけてるわけですから、抗議された側も反論すべきところはちきんと反論して、まっとうな議論を尽くすべきだとは思います。
が、なかなかそうはいかない現実も本書には記述されていて、日本の言論界の闇を見る思いです。
著作権問題で封印された作品については、さらに不憫ですね。

よた帝の旧作は、別に封印したわけじゃなくって、また機会があれば復活しますよ~。

>ISSIどの

まぁ、むかしのドラマ、アニメなんかはそういう処置がとられていることが多いんでしょうねぇ。
「座頭市」なんか今じゃテレビでは放映できないらしいからねぇ。
そうやって隠すことでは、差別の問題はなんも解決しないんだろうな、と思うけど、マスメディアの意図はそういうことではないから、受け手としてはどうにも違和感が残るんだよね。
「隠されると見たくなる」ってのは、まさしく、この種の封印作品の宿命というか、マニア心を刺激するんだろうね。
試しにヤフオクで「ウルトラセブン12話」とか「怪奇大作戦 狂鬼人間」とか検索してみて。たいへんなものが出てるから(^^;

投稿: 皇帝 | 2007年10月23日 (火) 09時15分

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