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2006年12月 2日 (土)

「パーミリオンのネコ1 殺戮のための超・絶・技・巧」

以前、感想文を書いた囲碁マンガ「入神」の作者・竹本健治の小説作品である。
「入神」が結構よかったので、この作者の小説も読んでみようと思い、それとなく捜していたのであるが、案外見つからなかった。
ところが、あるところにはあるもので、某BOOKOFFで複数発見し(しかも100円棚)、背表紙だけ確認してレジに持っていった。
ウチに帰って黄色い袋から取り出してみると、「あれ、こんな本買ったっけ?」。
表紙まで確認してなかったのだが(それもどうかと思うが)、いかにもアニメのノベライズみたいなイラストにちょっと引いてしまった。
という訳で、あまり期待もせずに読み出したこの作品である。

Neko_2
いかにもマンガ的だなぁ~、作者はマンガ家志望だったと聞くがそのためかな、と思いつつ読み進めていった。そんな話なので、トントンと読み進み、短期間で読み終えてしまった。作者の後書きを読むと、もともとこの作品はマンガ原作として書かれたものだそうだ。なるほど。
「入神」もそうだったが、この作者は、登場人物のプロフィールを短いエピソードで上手に語るので、ストーリーに入り込みやすい。ただ、本作はシリーズものの第一巻なので、主人公の出自などについては、謎めかせており、続編に興味を持続させる効果を狙っているようである。
ところが、まぁ、この主人公だけど、人物造形が非常に類型的で、かつ謎をちりばめすぎたため、得体の知れない(が、なんだか薄っぺらい)人物にしかなっていないのが、ちょっと残念である。まぁ、続編でその謎は解き明かされていくのだろうが、個人的にはそこまでの興味は持続できない(とはいえ、同シリーズのを同時にもう一冊買ってるんだよねぇ、困ったな)。

ストーリーはこんな感じ。
宇宙のとあるところで惑星間で跳梁跋扈する凶悪犯罪者を「処理」することを仕事とする一種の警察組織があり、主人公である「ネコ」はその組織の美貌の女性辣腕捜査員である。日々神経と肉体をすり減らし、自らの生命を危険に晒しつつ惑星間を飛び回る日々を送っている。
彼女が新たについた任務は、サイ能力(超能力)を駆使し、テロ行為を続ける「サイス(大鎌)」なる男を始末することである。彼が潜むとされる惑星に乗り込み、ひょんなことで知り合ったノイズという男を協力者として、彼女はサイスを追いかける。しかしサイスはその姿を現さず、捜査は壁にぶち当たる。彼女を察知したサイスはサイ能力による攻撃を徐々にエスカレートさせ、逆にネコは追いつめられてしまう。果たして、ネコとノイズの命運はいかに。
・・・という話です。ね、いかにもマンガ的でしょ?

話の中では、不幸を背負った少女が出てきて、ネコと彼女をだぶらせ、ネコの過去を示唆する場面があったり、ノイズが弾くピアノ曲(フランツ・リストの「ラ・カンパネラ」である。少なくとも、これで、登場人物が地球人であることがわかる。なお、タイトルの「超絶技巧」に引っかけているのだろうが、いまいち引きが弱い)がなにかネコの過去にかかわりがあることを示唆する場面があったり、まぁ、伏線をいろいろ張ってはいるのだが、本編中では、それらの伏線は結実していない。シリーズ全体を読めば、その伏線も「おお、そうだったのか」と納得できるのかもしれないが。
またサイスが起こしたテロ行為の動機もはっきりしない。不治の病により死んでしまった妹のことが語れるが、それとテロ行為とはどうしても結びつかない。よくよく読めばわかるのかな?さくさくっと読み飛ばしたせいかもしれない。

と、まぁ、突っ込みどころ満載の小説であるが、全体としては勢いがあって、主人公と脇役のキャラも立っていて、エンターテイメントとしては、そこそこ楽しめる。しかし、やはりこれはマンガで表現すべきお話だな。文章を読んで、その場面のイメージが脳内で再現できる人向けです。そういう意味ではマンガ読み向け小説でしょう。表紙のイラストを描いた人(末武康光・後書きによると大友克洋の「AKIRA」のスタッフだった人らしい)が作画する予定で、だいぶん進んだらしいけど、掲載予定誌が発刊前にボツになってしまったそうで、そういう意味では不幸な作品ではある。

ちなみに、わたしの脳内では、ちきんと「童夢」のころの大友画で再現されていたので、あとで「あ、なるほど」と思った。活劇場面の描写がいかにも大友画を文章化したようなものだったからである。このあたりにも作者のマンガ好きが感じられる作品である。

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