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2006年10月16日 (月)

「木島日記」

先般「寄生人」の感想文で言及した大塚英志の著作である。
Kijima0 大塚英志という名は、「多重人格探偵サイコ」なるマンガの原作者として知られるが、残念ながら、わたしはこの作品をちきんと読んだことがない。BOOKOFFで立ち読みした程度である。
また、「ルーシー・モノストーンの真実」(三木・モトユキ・エリクソン著)というノンフィクション作品で、ルーシー・モノストーンの存在を過大に神格化し、紹介した文筆家として言及されていたのが印象に残っている程度で、特に関心のある作家ではなかったのだが、なんとなく文字の多い本を読みたくなってBOOKOFFの100円文庫コーナーで手に取ったのが本書である。

舞台は昭和初期、軍国主義の台頭する不穏な世情のもと、民俗学者折口信夫は、ひょんなことから「八坂堂」なる古書店に迷い込み、木島なる仮面の男とまみえる。そして、次々と猟奇的で不条理な出来事が折口の周囲で起こるようになり、そのいずれもが木島が関与している。折口の周囲で起こる不思議な出来事が本書に語られているのであるが、どれもこれも荒唐無稽文化財みたいな話で、「んな、あほな」と思いつつも引き込まれてしまう、そんな小説である。
たとえば、知的障害のある子供を集めて人間コンピューターを作ってしまう話や、月から来た?少女の自殺と呪術によるその蘇生の話など、およそ説明しづらいストーリーの短編連作が収録されている。
その種の奇怪な話が好きな人には、ちょっとだけお勧めしておきます。
もともと同名マンガの原作のノベライズのようで、そのマンガ作品も読んでみたが、作画担当の森美夏という人の絵が、かなり独特なので、ちょっと世界に入りづらかったなぁ。
達者な絵なんだけど、斬新すぎて、パッと見て何が書いているのかわかならいコマが多々ある。Kijima
むしろ、小説作品の方が、「よくわかる」というのは、よくよく考えてみると、そうかもしれないと思わせる。
というのは、物語の世界の中での単位時間あたりに、読者に与えられる情報量(および情報の質)が、だいぶん違うからではないかと。もちろん、マンガの方が情報量は格段に多い訳です。しかも、その情報は、ほとんどが視覚から認識するものだから、「物語り」という言語表現に変換して理解しようとすれば、そこで読者の頭の中で、視覚で認識した情報を言語に置き換える作業が発生する。これは、案外難しい作業で、特に本作のように、いろいろと衒学的なプロットやら、常識を逸脱したストーリーやら、異常な設定の登場人物群やら、非常に込み入った情報を一度に与えられると、読者は、よほど頭を整理してかからないと「よくわからない」状態になってしまう。
(普段なにげなく読んでいるマンガだけど、結構いろいろ頭使って読んでるんだと思う)
はっきり言って、本作については、マンガ版だけを読んでいたら、きっと「なんかわからん」話としか思えないのではないか。少なくともわたしはそうだった。小説版を先に読んでいたので、話は概ね(正しく)理解でき、そこそこ楽しめたが。
そんな訳で、もしこの感想文を読んで、本作に興味を持つ人がいたら、小説版を先に読むことを勧めておきます。

どうでもいい話だが、小説版の表紙に記載されている作者名のローマ字表記の字体が、Art of tranceなるテクノユニットのロゴに酷似している。まぁ、よく見かける字体という気もしないではないが。Kijima01 Artoftrance 左が「木島日記」文庫版の表紙、左がArt of tranceのCDジャケ。

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コメント

Grace has told you, the first hour of dinner.

投稿: free greeting card sites | 2007年1月 3日 (水) 15時03分

So, Miles, and on no account would I not satisfied with what probable consequences, I put the question.

投稿: unerase word | 2007年1月31日 (水) 00時24分

Put him face to face their torments.

投稿: jamaat ul-fuqra | 2007年2月 1日 (木) 07時59分

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